7.開発会社とのトラブル

RVSの開発にあたって、なんと3社のIT開発会社を渡り歩きました。

何故変えるかと言えば様々な理由がありますが、価格と信頼のバランスが悪いと思った場合に他社に変えます。しかし、通常開発会社を変えると、開発は一からやり直しとなります。何故なら使用言語が違ったり、前の会社の開発部分に関して責任を持てない、などの理由です。

別を当たっていて、大変安い金額の見積もりを出して来た会社がありました。規模が小さい為でしょう。基本的に社長自身が技術者であって、後は事務の人といった具合です。しかし、規模は関係ないと思いました。その技術者がちゃんとしたレベルであれば同じだと。

新しく決めたP社は小さな会社であるがゆえ、風通し、レスポンスはとても良かったです。社長は頻繁に横浜まで来てくれ、出来る事、出来ない事の内容を説明してくれました。私も一応元技術者なので、基本的な内容は理解できました。ベンチャー系企業も手掛けてきた事があるらしく「安い方法」を教えてくれました。

音声認識の検証のためNTTテクトロニクス(NTTの研究所みたいな所)にも同行してもらったり、小さな会社故の機動性があって、同じプロジェクトのメンバーの様になって行きました。

そして何社か見た上で音声認識エンジンについてはMicrosoftのAzureに決めました。その後開発は一からやり直しとなり、様々なやり取りや問題がありましたがそれは後の話となります。

「日本人の英語の発音」

これをカバー出来る音声認識は存在しません。これについては、東大の研究チームやNTTなどがトライしていた様ですが、満足な結果を残す事が出来ていませんでした。十分なサンプルを集める事が難しかったからでしょう。

逆にこれが出来たらとても大きな事であることは間違いありません。RVSには、この問題を解決できる可能性があります。利用する多くの生徒の誤認識データを集める機能を持っていたからです。

いろいろ廻っていた時の大手のRセミナーの教材担当者にデモした時です。一通りの説明とデモが済んでその担当者が発した一言が強烈でした。

「うちに来ている生徒さんたちは、別に英語を話せるようになりたいと思って来ている訳ではありませんよ」

全てを水の泡にするような言葉でしたが、確かにそうかも知れません。テストで良い点を取りたくて来ている訳で、英語スピーキングのテストがある訳ではないのです。英語スピーキングのテストについて調べ出しました。

そうやって営業活動を自らやる中で、実感した事は、市場の大きさを分かっていなかったと言う事です。これは広告会社の言う事で理解できます。

当時2,3百万円をリスティング広告に投じていたと思います。しかし、広告会社曰く、

「大手3社ほどがほとんどを占めていて、我々の広告は水が溢れた洗面器にポタポタ滴を垂らしている様な物」

つまりそれだけ大きな市場を狙っていると言う事を具体的にわかっていなかったのです。あとはRVSにはコンセプトとして先行の類似サービスが無いため理解してもらうのに時間が掛かると言う事もあったでしょう。一年ほどの開発期間を経ていました。

 そんなおり、新しい開発会社のP社の社長が、

「この仕事をやりきれないので、他社に引き継ぐ事を提案します」

との内容のメールを送って来ました。るまり投げ出したのです。

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